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活用したい「ピアサポート」

ピアサポート 信頼できる医師と運よくめぐり会い、治療を始めて間もなくのこと。 その病院で活動している「ピアサポート」団体を紹介されました。 医師の説明によると同じような立場にある人たちが集まって、話をする場なのだそうです。

それだけではよくわかりませんでしたが、「同じ立場」という言葉が気になって一度参加してみよう、と思いました。

ピアサポートってどんなことをするの?

「ピアサポート」とはアメリカでアルコールや薬物などの依存症患者を対象に、心の内を吐き出すために始まった活動だそうです。 何かに依存するようになるには、それまでの生い立ちや生活環境、さまざまなきっかけがあるはず。

それを同じ依存症に苦しむ人たちに聞いてもらうことで「自分だけではない」「話を聞いてもらえた」と前向きになれたり、問題解決の糸口をつかむことができるようになるのだとか。 日本でもいろいろな疾患の患者同士でこうした活動が活発になってきているそうです。

「ピアサポート」の最大の特色は、「何を話してもいい」ということ。 自分の今の状況や、辛いこと、苦しいこと…何でもいいのです。 それに対して「甘えている」「頑張らなくちゃ」などと意見や叱咤激励されるようなことはありません。

アドバイスや現状打破が目的ではなく、その人の「思い」を全員で共有するのです。中には「私も」「自分にも同じ経験がある」と共感してくれる人もいることでしょう。

それはうつ病に苦しむ患者だけでなく、家族にとっても大きな力となるのではないでしょうか。

参加してみよう!と夫を説得

活動の内容を詳しく聞けば聞くほど、私は参加してみたくなりました。 肝心の夫は気が進まないようでしたが、「とにかく一回だけ行ってみない?それでイヤならもう行かなくてもいいんだし」と、夫が落ち着いている時をねらって言ってみました。

男性の参加者も少なくない、と担当医からも聞いていたのがよかったのか、最終的にはしぶしぶではありましたがOKしてくれました。 過剰に期待してはいけない、と思いながらも、これがきっかけでよい方向に進みそうな気がして、その日が待ち遠しかったものです。

驚くほど表情の明るくなった夫

当日は通っている病院の談話スペースが解放されて会場になっていました。 参加者以外には誰もいないので、気兼ねすることなく話ができそうです。 集まっていたのは私たち夫婦を入れて10人ほど、性別も年代もさまざまでした。

簡単な自己紹介のあと、車座になって全員の顔が見える状態で一人一人が今の自分について話し始めました。

話しているうちに泣き出す人、感情が高ぶって何も言えなくなってしまう人、いろんな人がいましたが、みんなうつ病に苦しみ、それでも何とかしたいという気持ちが伝わってきて、思わずもらい泣きしてしまったりして…。 夫の番が回ってくると、初めは口ごもっていましたが、やがて堰を切ったように心の内を語り始めました。 仕事のこと、人間関係のこと、家族のこと、そしていちばん重要な病気のこと。

中には妻の私でさえ初めて聞くようなこともあり、「こんな風に考えて、苦しんでいたんだ」と申し訳なくすら感じました。 でも、話し終えた夫の顔が最近見たことがなかったほど明るく、すっきりとしているようで安心しました。

帰り道、「来てよかったね。また行こう」と夫の方から口にしてくれたことが何より嬉しかったです。 どんな時にも「仲間がいる」と実感できるのは心強いものですね。