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うつ病・受容と共存・1

受容と共存 治療を始めて半年が経ち、夫はうつ症状が重くなることもありましたが徐々に回復してきました。 「調子に波があるのはよくなってきている証拠」と担当医に言われてから、ずいぶん気が楽になったようです。 しかし、そろそろ復職のことを具体的に考えてもいいかも、と思って相談したところ、あまりいい顔をされませんでした。

寛解目前!でもそんな時こそ注意が必要

うつ病では「完治」「全快」ではなく、症状が見られなくなったという意味の「寛解」という言い方をすることは知っていました。 だからこそ、その状態を目指して夫婦で治療に取り組んできたつもりなのですが…。 担当医によると、実は最も再発しやすいのがその回復してきて「寛解」とされた頃なのだそうです。

寛解期には、患者本人も家族も「うつ病はよくなった、さあこれから今までの遅れを取り戻そう!」と考えがちです。 例えば仕事上のストレスや人間関係が原因でうつ病になったとしたらどうでしょうか。

その環境が改善されていなければ、復職したとしてもじきに元の木阿弥になることはたやすく想像ができますよね。 うつ病に限らず、心を病む人に共通しているのが「早く元に戻らなければ」と思い込んでしまうことです。 むしろ、元の状態・環境に戻ったらまたうつ病の症状が現れるかもしれない、と用心すべきでしょう。

うつ病を「受け入れる」って?

「じゃあどうしたらいいの?もう仕事には戻れないの?」と不安になった私たち夫婦に、担当医は優しく、「元に戻るのではなく、新しい自分になることを考えましょう。うつ病であることも含めて、今の自分を受け入れてみてください」と諭してくれました。

医師の言うことだからおそらく正しいのだろう、とは思いましたが、正直何のことだかわかりませんでした。 うつ病は誰でもかかり得る病気であり、決して恥ずかしいことではないと頭では理解していても、やはり「夫がうつ病で」とは簡単に口に出せることではないでしょう。

夫自身はなおさらです。治療を受ける前は、「うつ病かもしれない」ということすら認めたがらなかったくらいですから…。 そんな私たちの混乱が伝わったのでしょうか、担当医はこうも言ってくれました。

「病気になる前の自分が正しい自分の姿と決めつけないこと。どんな状態でもあなたに変わりはないのです。自分自身を見つめ直すのもいいことですよ」 まるで宿題のようでしたが、夫と一緒に考えてみることにしました。

改めて話し合ってみる

それから次の診察日まで、折に触れて夫と話し合ってみました。 夫は「うつ病がわかった頃は自分が自分でないような気がしていたけど、君はどう思った?」と尋ねてきました。 「正直、以前のあなたとは違う人間になってしまったと悲しかった。でも嫌いにはなれなかった。病気のせいだとわかっていたから」

実は離婚も考えていたこと、うつ病がよくなれば元の二人に、家族に戻れると信じていることなど、心の内をきちんと伝えました。